旅路のまえに

旅路を始める前に、私がこれから書く宗教2世問題について2つの点を明確にしておきます。

  1. 私が書くのは「個人の体験談」ではない
  2. 私が書くのは「専門外の分析」ではない

昨今のマスメディアの報道やネット記事を眺めておりますと、どうも宗教にまつわる「体験談」がたくさん散見されるようです。

宗教の話というよりは、どちらかというとイチ家庭問題の話や個人的な苦労話の類です。

しかし、私がこれから書くのは誰かの体験談ではありません。体験談をお探しであればどうぞネット記事やSNSをお探し下さい。

さらに、昨今の報道やネット記事を眺めておりますと、どうも宗教家ではない方々による宗教に関する「専門外の分析」もたくさん散見されるようです。

宗教を実践した経験がない方による宗教についての分析は、例えるなら、テニスの試合に一度も出場したことのない人がテニスについて実況することに等しいでしょう。

そんな状態でいったい宗教の何を語るというのでしょうか。

もちろん私は統計学的な切り口、学術的な切り口で宗教を研究することには賛成です。適切な手法を取れば意味深い研究もできるでしょう。

しかし、どんな専門家であっても実体験が伴わない分析であれば、それは専門外の分析です。

実体験が肝となる「宗教」では特にそうだと言えるでしょう。ドップリ浸かっていた人間じゃないと宗教の肝は理解できない。

しかし、ご安心ください。

これからあなたの旅路のガイド役を務めさせて頂きますわたくしは、7歳から27歳までずっと宗教ラケットを握らされ、

所属リーグが変わったその後でさえもザッと合計30年、ひたすら宗教ラケットを振り続けてきた百戦錬磨の宗教人でございます。

ゆえに、私がこれから書く文章は単なる体験談でもなければ、専門外の分析でもありません。

私が書く文章、それは30年来の宗教家としての私の探究の総まとめ、全ての宗教2世に捧げる宗教攻略に関する答えなのです。

情報提供の品質は守るべき

なにぶん「宗教2世問題」が日本で広く認知されるようになってからまだ日も浅く、この業界はまだまだ夜が明けたばかりの黎明期です。

そんな誕生して久しい分野において個人の専門性を証明する標準化団体がある訳でもありません。

日本における宗教2世界隈はまさに雨後のタケノコ、玉石混合な状態です。

であれば、あるいはだからこそ、私は宗教2世問題の界隈にこの一石を投じたいと思います。

つまり私がこれから書く内容くらいはせめて宗教2世問題の基本レベル、最低レベルであって欲しい。

宗教2世問題について論ずる人は誰であれ、せめてこの程度は分かってて欲しい。

最低限の標準が設定されなければ、この業界での情報提供はカオス化が進むでしょう。

そんなカオスな中での情報収集はより困難となり、ただでさえ複雑怪奇な難問で困っている被害者の方々が、その情報収集においてますます困ってしまう。

もともと厄介な分野が、さらに厄介な分野になりかねない。

だからこそ、この分野では最低限の標準、つまり情報提供の品質が守られることが絶対に必要だと思います。

この旅路を通してあなたも私のような宗教のエキスパートとなって頂き、情報提供の品質を守る側になって頂きたいのです。

大丈夫。

私と一緒にしばらく進んで行くだけで、割と簡単にエキスパートになれますから。

軽く私のストーリー

前述の通り今から私が書くのは体験談ではありませんが、さすがに最初の数分くらいは時間を割き、私自身のバックグラウンドについて触れようと思います。

それは、私が5歳の頃でした。

私の母親が近所の知人に誘われて、キリスト教系の新興宗教「エホバの証人(ものみの塔)」の集会に参加するようになったのは。

そしてその頃を境に、当然の事ながら母親は自分が「真」と信じるようになった新しい世界観を使って私に宗教教育を施すようになりました。

私は7歳あたりから母親に連れられて優しい兄弟姉妹たちが集うコミュニティ、つまり「集会」へと通い始め、その中でスクスクと宗教家として成長していきました。

エホバの証人の集会の様子

若い私にとって幸か不幸か、新興宗教「エホバの証人」は暖かいコミュニティ、自分の居場所として私にハマりましたし、母親の宗教教育も私にとっては魅力的なアヘンとなりました。

こうして私はメキメキとエホバの証人として成長し、15歳でバプテスマ (入信)、20歳で正規開拓者 (正社員)、24歳で奉仕の僕 (JWリーダー補佐)、25歳で地域大会監督補佐 (JW大会幹部補佐) としての道を歩むこととなりました。

エホバの証人の地区大会の様子

もし仮に、19歳の頃のあの出来事がなかったら、私は今この瞬間もただのエホバの証人の1人として日々を過ごしていた事でしょう。

こんな感じで宗教に関する文章を書くこともなく。

では何が私にとって転機となったのか。何が私の世界を一変させたのか。

それは、JW組織での情報収集です。

  1. 聖書について組織外での情報収集
  2. ユダヤ教についての情報収集
  3. 一般的なビジネス書の多読

母親の影響もあり、私は小学5年生の頃から聖書の勉強が大好きでした。

当然ながら私の聖書研究はものみの塔聖書冊子協会が発行する書籍を中心としたものでしたが、次第に私の聖書研究はその枠組みを超えていきました。

そんな19歳のある日、私は近所の大きな商業ビルの中にあった書店へと入り、とある2冊の本と出会いました。『勉学術』と『レバレッジリーディング』という本です。

有体に言えば、この2冊の本が私の当時の聖書研究スタンスを以下のように変えたのです。

  • 『聖書』さえ極めればエホバの証人だって極めることができるはず
  • 『聖書』を極めるためには『聖書』そのものを読み込むしかない
  • ビジネス書を多読すれば優秀な人間になれる。ビジネス書も多読するしかない

こうして私は、本格的に聖書そのもの、そしてキリスト教、ひいてはキリスト教の原点であるユダヤ教の研究へと手を拡げるようになりました。いわば「壁外調査」ですね。

並行して、当時書店で話題になっていたビジネス書から啓蒙書まで、時間とお金が許す限り、片っ端から本を読みまくるようになりました。

自分の大きな本棚が徐々にビジネス書で埋まっていく状況を見て、当時の私は深い満足感を覚えていました。熱心なJWだった母親は非常に怪訝そうにしてましたが。

すると、エホバの証人としての心境の変化は1年もせずに現れました。

グループリーダーである「長老」の話はおろか、「統治体」と呼ばれるものみの塔トップの男性たちの教えが非常に低レベルだと感じるようになったのです。

最終的には、彼らは聖書やキリスト教を誤って教える「単なる嘘つきだ」あるいは聖書の基本すら理解してない「低レベルな人間たちだ」と判断するに至りました。

この時の私は24歳でした。

おっと、、

軽くのつもりが長くなりましたね。

エホバの証人を抜けてから現在に至るまでのその後の私の歩みはご想像にお任せします。あるいは別の機会に。

今は私の体験談よりも私たちの共通の目的地、宗教を攻略する瞬間へと先を急ぎましょう。

旅路をざっと外観

まずは早速、今回の旅路の地図をあなたにお渡し致します。

旅路が一体どんな感じになっているのか、その流れはどんな感じなのか、この地図を見れば見当がつくでしょう。

歩き始める前の軽い準備運動だと思って、ざっと目を通しておいて下さい。

  1. 宗教2世問題とは宗教パワハラ問題である
  2. 親への深い理解が宗教2世問題を攻略するカギ
  3. 子への深い理解が宗教2世問題を攻略するカギ
  4. フェアネスの確立が宗教2世問題を攻略するカギ
  5. 宗教への深い理解が宗教2世問題を攻略するカギ
  6. まとめ。すべての答え

以上、この旅路の先で宗教2世問題、そして宗教を完全攻略する瞬間が待っています。

では旅路を始めて行きましょうか。

↑